ルアーの色

ルアー色の代表写真

当ホームページの製作記事などを見た事がある方は、気になった方もいるかもしれません。

作っているルアーは、ほとんどが緑色です・・・

渓流釣りを始めた当初は、渓流ルアーの定番?の赤金や、リアルなカラーの使用頻度が高かったのですが、緑色を試したら無反応であった川底から、 魚が追いかけてくるという経験が何度かあって、それがきっかけで緑色をよく使うようになりました。

魚も気分があるでしょうし、周囲の環境や季節など、影響する要因は沢山あるので、何とも言えないですが、 とりあえず緑は釣れるし、水中での視認性も良いので定番カラーとして使うようになりました。

このような経験もありますが、水、光、魚の目とった要因から、渓流域でのルアーでは、とりあえず選択する色としては緑が無難ではと、私が思う理由をまとめてみました。 (ただのこじつけかもしれませんが、一つの意見ということで・・・)

先に結論だけ簡単に書いておくと、興味を引いて口を使わせるのがルアー釣りなので、とにかく魚に見つけやすく、目立つ色がルアーの場合は釣果につながりやすいのではと思います。その目立つ色が、「緑」なのではないかと思っています。それは何故かというと、淡水中で緑色の光は遠くまで届きやすい色(光の強度が落ちにくい)であること、また、魚の目の感度も青から緑あたりの光に感度が高いと思われるためです。

水中での光の色による吸収量の違い

光、色、吸収量というと、なんだか分かりずらい表現ですが、水中では何色が一番通りやすい(透過しやすい)のか?という視点で見た場合の話です。

あまり普段は意識しないかもしれませんが、水には光が吸収されてしまい、水中に入った光は、元の光量が失われて暗くなっていきます。

例えば、光が当たっている水面から遠くなる深場(極端には海底)が暗いのは、光が水に吸収されてしまうから。(水以外への吸収も当然あるとは思います。)

そして、光の吸収されやすさは、光の色によっても違い、吸収されにくいのは、青緑あたりの色で、その結果で海や川が、青や緑に見えるということです。

(太陽光から最初は白色の光(全ての色)が入りますが、赤などの色が水に吸収されて減ってしまうので、 残った青緑系統の色が相対的に多くなり、その光が水面から人の目に入ってくるので、青緑っぽい色に見えるということです。)

こういった事をキチンと示したいと思った時に、ChatGPTで手軽にデータを出せる事に気が付きました。世の中、色々活用している人もいるのでしょうが、こんなこともできるのですね。下の表が、海水、淡水、純水の光の吸収率を、光の波長とともにカラーコードと合わせて出してくれとChatGPTに問いかけて出してもらった表です。実際には10nm刻みで細かく出してもらいましたが、行数が多くて見にくくなるので抜粋して載せています。

データの信頼性は??ですが、パット見た感じ大きく違うことも無さそうで、所詮趣味の釣りの話に使うだけなので十分でしょう。

波長 (nm) カラーコード 吸収率(淡水) 吸収率(海水) 吸収率(純水)
400#9400D30.600.750.50
440#0000FF0.400.550.30
460#0032FF0.300.400.18
490#0080FF0.180.180.10
520#00CCCC0.100.250.18
550#00FF000.070.400.30
580#99FF000.120.550.45
590#CCFF000.180.650.50
620#FFCC000.400.800.75
650#FF80000.700.900.90
670#FF33000.800.930.94
720#9900000.940.980.99

表だと見にくいので、グラフにしてみました。吸収率も今の話の流れだと分かりにくいので、透過率(見えやすさ)に変換して、100%表示に直しました。(ベースデータはChatGPTです。)

光吸収のグラフ

これを見ると、渓流釣りをするのは淡水エリアなので、最も良く透過する光の波長は540nm付近で、青寄りの緑色であることが分かります。なので、水中の光の通りやすさだけ考えた場合に最も魚に届きやすい光の色は緑色であり、これがアピール力に繋がるのではと思っています。

反対に赤色は透過しにくい色であり、水中では黒色のような光が出ていない系統の色と同じような部類に入るのではと思います。こういった色は、光の溢れる明るい川であれば、変に暗い異物が泳いでいることになり、これはこれで目立つように思います。明るい川や、日差しの強い季節は、良く透過する緑色を使いつつも、こういった暗い系の色もコントラストが効いて良いのかもしれません。

なので、光の通りやすい緑系の色が、あらゆる状況で絶対ではなく、色々な状況に遭遇した時に、そつなく対応できる色だとも思います。

また、何色が一番透過量が多いのかという見方でこれは見ていますが、そもそも光の総量でみれば、色に拘らず金属光沢の銀色で、白色光(全色)を反射させた方が魚に届く光の総量は多いと思われます。それだと銀色で反射すれば良いのですが、この場合は自然な光なので光の強度は高くても目立ちにくいと思います。なので、差し色として緑色など他の色を組み合わせて目立つ要素を持たせるのがルアーには向いているのだとも思います。

これが、水中での光の届き方でルアーの色を考えた場合の私の思うところです。

また、海水と純水も一緒に載せていますが、これらの場合は、470nmあたりの青色の光が最も透過し、渓流釣りと海釣りでは少し様子が違うことも分かります。

ここで少し不思議なのが、何故淡水は緑色あたりの透過率が高いのかですが、淡水では浮遊粒子や溶存有機物が多く、それらが青系の光を散乱させて透過を妨害するため、相対的に緑系の色が良く透過するそうです。なので、透過できる光の総量としては海水や純水の方が多いのでしょうね。

魚の目と色に対する感度

一つ上のグラフまでは、ルアーから出る光が、どう届くのか?(光を発する側)について書きましたが、ここからは光を受け取る側の魚の目についてです。

魚になってみないと、世界がどう見えているのか知る由もないですが、色々と調べている人はいるようで、これもChatGPTに質問すると答えが返ってきます。

これはデータを引き出せなかったので、文章で書きますが、私の文章よりもChatGPTの文章の方が分かりやすいと思うので、回答をそのまま転載します。(薄紫色の部分)

淡水域に住む**鱒類(サケ科の魚)**の眼は、青緑色から赤色の光の波長域に対して感度が高いです。具体的には以下のような特性があります:
1. 波長感度の範囲
鱒類の視細胞は3種類の錐体細胞を持ち、それぞれが異なる波長に感度を持っています。
短波長(S錐体): 約400~450nm(紫~青)
中波長(M錐体): 約500~550nm(緑)
長波長(L錐体): 約600~650nm(赤)
2. 青緑色に特に感度が高い
淡水では青緑色(約480~520nm)が最もよく届くため、鱒類の眼はこの波長に対して特に高い感度を持つと考えられます。これは視覚を最大限に活かしてエサを見つけたり、敵を察知したりするためです。
3. 赤色感度の特殊性
一部の鱒類では、**赤色(長波長)**の感度が高いことが知られています。これは植物や昆虫など、赤系統の色を持つエサを視認するための適応と考えられます。
まとめ
鱒類の眼は青緑色から赤色の光に感度が高いですが、特に青緑色に最適化されています。この適応は、淡水環境での視界条件や生活習慣に密接に関連しています。

この回答だと、赤色は、一部の鱒類で感度が高いそうですが、その魚種は何なんだ?と気になります。

それも確認したところ、長くなるので回答の転載はしませんが、ニジマスとのことでした。イワナもいくらか赤に感度があるようですが、ニジマス程ではないそうです。そして、ヤマメ(アマゴ)については、青緑に最適化されており、赤への感度はあるものの、3つの魚種の中では最も赤への感度が低いようです。

なので、これらの回答から、光を受け取る側の魚の目の観点で、魚へのアピール力を考えた場合、ヤマメ(アマゴ)、イワナ、ニジマスの3つ全ての魚種に共通して効果が高いのが、青緑系統の色であり、ニジマスについては赤色も効果的、イワナは幾らか赤色も効くかな、ヤマメ(アマゴ)は反応はあるものの特別高くは無いという事になると思います。

どういった色使いのルアーがよいのか

いろいろと記載しましたが、簡単に私がルアーを作る時の方針をまとめると、「緑色を多く使い、赤や黒も使ってルアーの色塗りをする」です。

・水中を透過しやすく、鱒類の目に対しても感度のよい、緑系統の色をベースで使う。

・赤色の感度も高いニジマスも考慮して、赤色も使う。(イワナもいくらか赤の感度が高い)

・明るい川や、日差し強い季節といった、光が溢れる水中でのコントラストを効かせるため、赤、黒もカラーデザインに入れ込む。

ルアーの色については、色々な考えがありますし、こんなの一つの側面でしかないという意見もあると思います。あくまで、こんな考えもあるのではという参考です。

少なくとも私にとっては、同じようなカラーのルアーばかり作っているので、釣り場でルアーカラーで変に迷わず、テンポよくルアーを投げて釣りあがっていける事に寄与しています。(もっと細かくカラーチェンジすれば、もっと釣果を上げる釣り人になれるかもしれませんが・・・)

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