酢酸セルロースコーティング
前回の記事で紹介した酢酸セルロース樹脂を使用したクリアコーティングについて、塗料組成を変更し、まとまった数のルアーを作ってみました。

樹脂販売元のNature 3D様にサポートを頂き、ジアセトンアルコール、エタノールを加えたタイプの塗料を新たに作製しました。酢酸セルロース樹脂10wt%/アセトン50wt%/ジアセトンアルコール30wt%/エタノール10wt%の組み合わせです。組成比はもっと良い比率があるかもしれませんが、あまり細かく検討するのも大変なので、ざっくりこんなものかという程度で作っています。
ジアセトンアルコールは、揮発を遅らせるための成分で、一般的なリターダー成分のアノン(シクロヘキサノン)と比較すると、低臭で揮発速度はアノンよりもさらに低いです。このためとても使いやすいです。
また、毒性については化学物質の安全性をまとめたSDSというシートがありますが、アノンと見比べると、経口経皮毒性が区分外となっており、これらの毒性のためにドクロの注意喚起マークがあるアノンと比べれば低毒と思います。
ただ、アセトンやエタノールに比較すると、これもアノンよりは良いですが、許容管理濃度の値は結構小さく設定されているので換気はしっかりした方が良さそうです。
エタノールは、それ自体には酢酸セルロース樹脂の溶解性はないですが、他の溶剤と混ざることで溶解性が高まることと、毒性が低そうなもの、もう少し揮発速度が極端でない成分を混ぜる意味で加えてみました。エタノールが入っていると確かに樹脂が完全に溶け切るまでの時間が早いです。
この酢酸セルロースクリア塗料で最終ディッピングまで完了したルアーたちです。仕上がりは、従来のニトロセルロースセメントと変わらないと思います。こちらのNature3D様のブログでも紹介頂いています。

このクリア塗料ですが、生分解性樹脂であるという事以外に以下のようなメリットもあり、使いやすい塗料です。
・とても臭いが少ない。
普通のセルロースセメント(ニトロセルロース)と比較すると、圧倒的に低臭です。室内でディッピングしても気にならないくらいです。ただし、臭いが無いとはいえ、無害とは言えない有機溶剤が揮発するので換気しながら作業することは必須です。
・多湿の夏場でも白濁が起きない。
ジアセトンアルコールの揮発速度の低さに起因していると思いますが、8月の夏場でも白濁とは無縁であり、とても扱いやすいです。
使用した材料
・酢酸セルロース樹脂 ⇒Nature3D様販売ページ
・ジアセトンアルコール ⇒Nature3D様販売ページ
・アセトン
検索すれば色々な所から購入できますが、私が見つけた中では一番安かったこちら→アセトン(純)各容量(1L・4L・16L) その他⇒amazon
⇒楽天
・エタノール ドラッグストアで買うのが早いです。
(無水と書かれている物を使用。IPと名前に付いた物は他のアルコール成分も少し入っていますが大丈夫です。IPマーク無しの100%エタノールは高いです。酒税?精製?のせい?)
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