作り方

1.ボディの作製

まずはボディの型紙を作ります。作るミノーのイメージを元に、輪郭を厚紙に写して切り抜きます。まずは市販ミノーを参考に書いてみたらよいと思います。

いろいろ作り始めると、どれがどれか分からなくなるので、型紙にはナンバー、重り位置の目印などを書き込んでおいた方が良いです。

おもりの配置位置などはこちらにまとめているので、参考にしてみてください。

型紙をバルサ板の上に置いて、周りをなぞって、形をを書き写します。バルサ板は2枚を貼り合わせて1個のルアーになるので、2つでルアー1個分です。

0.3㎜など細めのボールペンで書いた方が見やすく、線も細くて切り抜きしやすいです。ただ、どのように色付けを行うか次第ですが、背や腹に濃い塗装などしないなら、シャーペンなど線が残りにくい物で書いた方が良いかもしれません。

この段階でオモリを入れる場所や、金属線を通すラインなどを書き込んでおきます。

線に沿ってカッターで切り抜きます。
いきなり線の上に刃を入れて一度にくり貫こうとせず、少しずつ線の周りを切り落としながら、線の大きさに合わせていく方が失敗無く綺麗にできると思います。

カッターは刃の傷んでいない良く切れるものを使い、刃は多めに出して、刃先端はカッターマットにあてながらカッターを動かし、刃の直線部分でバルサ板を削ぎ落していく感じで使うとスムーズです。

この後、2枚1セットのバルサ板を、ルアーの形に整えるため、写真のように少しだけ両面テープを貼って仮接着します。

全てやすりで削りとっても問題ないですが、ざっくりで良いので、まずは頭と尾の部分を大まかにカッターで切り落としておくと楽です。(赤色の部分)

紙ヤスリで全体を削り、作りたい形に整えます。私は120番の番手で手早く削って、最後に400番で表面を軽く整えています。また、紙ヤスリは空研ぎペーパーと書かれている物の方が、目詰まりしにくく、ガンガン削れるので良いです。
これでボディの外観は完成です。

2.金具の作製(ルアー内部に入れる金属線)

ミノーには、頭、腹、尾の部分にフックを付けるための金具が付いていますが、それを作ります。

小さなヒートンで代用することもできます。こういったヒートンであっても魚が掛かった際に、すっぽ抜けるようなことはまずないので、とりあえずルアーを作る程度であれば問題ありません。

ただ、特にお尻側など、ミスキャストして岩に当たったりすると、ボディにヒートンがめり込んだり、グラついてくるので耐久性は劣ります。シッカリした物を作るなら、頭から尾まで連結した金属線を作って内部に入れ込んだ方が良いので、こういった作りにする場合は、以下のような手順を参考に金属線を作ってみてください。

金具材料のステンレスばね線の写真

まずは、材料のステンレスばね線です。材料紹介のページでも書いていますが、ただの針金ではなく、ステンレスばね線を使うと細くて丈夫な物を作ることができます。写真の物は0.6㎜径で細いですが強度は全く問題ないです。

最初に、写真のように45度くらいの角度に2cm程度曲げます。

ここから先は片丸ヤットコというペンチのような道具を使います。片丸ヤットコで45度に折り曲げた根本部分を掴み(角度の広い方が丸側となるように掴む)、ばね線を指でしっかり摘まんでヤットコの丸側に巻き付けます。力が要るのと、細いばね線の末端は怪我をする恐れがあるので注意です。

丸側に巻き付けたら、作った輪っかからヤットコを一度抜きます。ヤットコの角側(丸でない方)は、挟む面が平面となっておりにエッジが効いているので、そのエッジを折り返す起点に当てるように掴み直します。そうしたら、写真のようにエッジを起点にして折り返します。

折り返した後の状態です。輪っかができて、2本の足が揃った状態になっています。

人それぞれだと思いますが、こんな感じに曲げれば、私は片丸ヤットコ1本で綺麗に小さな金属輪っかを作ることができています。

あとは同じ要領で曲げていき、頭部分、腹部分、尾部分それぞれの輪っかを作ります。3か所作ったら、余分な箇所をペンチかニッパーで切断すれば完成です。曲げていく時は、3か所の輪っかの位置関係がきちんとルアーに合うよう、ルアーに当てがいながら曲げる位置は確認する必要があります。また、オモリの大きさや配置によっては、オモリを避けるように軽く曲げるなど、もうひと手間必要です。

腹部分のフック曲げの途中画像です。このルアーではオモリの位置を少し迂回する必要があったので、少し上に振ってから下におろしています。この後、ここで輪っかを作ります。

最後の尾の部分の輪っかを作る直前の状態です。こんな感じで曲げていき、1本通しの金具を作ります。

曲げ終わった金具は、そのままルアーに組み込んでも使えると思いますが、念のため、この写真のように糸を巻いて、ハーフヒッチで止めておくと安心です。

一応、0.6mmという細いステンレスばね線で、糸巻きなしの状態でも強度は問題なさそうです。(頭と尾の部分の輪っかに約2㎏のオモリを掛けても伸び切る事はありませんでした。このような補強をしなくても、4lb程度のラインを使う前提であれば、補強不要かもしれません。)

完成した金具です。3か所糸巻き補強してあります。

3.ボディの貼り合わせ

ここでは、「1.ボディの作成」で作ったボディに、「2.金具の作成」で作った金具と、オモリを入れてボディを貼り合わせます。

両面テープで仮貼り合わせしてあったボディを2つに分割します。そうしたら、写真の横方向に走っている横線部分が金属線が通る場所なので、浅くリューターで溝を付けます。(0.6㎜線なので、かなり浅いです。)

また、中央部の赤四角の部分はオモリが入るので、こちらもリューターで穴を掘ります。

穴が掘れたら、金属線、オモリを配置して、接着剤を塗ります。はみ出ても拭き取っておけば良いので、多めに塗ります。

接着剤はセメダインCが私のおすすめです。

貼り合わせると、このように余分な接着剤がはみ出てくるので、乾燥を始める前にふき取っておきます。(これはちょっと塗りすぎです・・・)

乾燥してからだと取りにくいので、この段階で取らないと大変です。

開かないように洗濯バサミなどでしっかり固定して乾燥します。

4.下地ディッピング-1

貼り合わせの接着剤が乾燥したら、アルミ箔を貼る前に、下地ディッピングを行い、バルサ材表面を固めます。ここで表面を固めないと、アルミの上にディッピングを掛けていく段階で、アルミ箔にシワができてしまいます。

(バルサ材は柔らかいので、クリア樹脂膜でボディが圧縮されると、木材が少し縮んでアルミにシワができます。)

この作業は、塗装で仕上げる場合には必要ですが、フィルム貼りで仕上げる場合は不要です。フィルム自体にある程度の厚みがあるので、コーティング樹脂の圧縮力に耐えられるようで、アルミ箔にシワができるような事はありません。

ここでのディッピングは、表面の様子を見ながら3~4回くらいです。1回目と2回目くらいまではディッピングした乾燥後、木の繊維が毛羽立ってザラザラしてくるので、都度、目の細かい紙ヤスリで綺麗にしながらディッピングをします。(毛羽立ちを取る程度なので、1000番くらいの目でやっています。)

ザラザラしたままアルミを貼ると、それがアルミ面にも出てきてしまいます。

写真は3回のディッピングをした後の状態です。

全体がつるつるの鏡面にはなっていませんが、アルミ貼りの下地としては十分に硬く、変なザラザラ感もないので、これくらいでも問題ないです。

5.アルミ貼り

金属光沢を出すためにアルミ箔を貼ります。光沢無しのカラーに仕上げるならばアルミ貼りなしで、下地が見えなくなる白や黒の濃い塗料でベース塗装すれば良いと思います。

アルミ箔の裏側に写真のように両面テープを貼ります。

アルミ箔はオーブン用と書かれている厚手の物が使いやすいです。また、両面テープは20mm幅の物だと1枚貼るだけでボディ全体をカバーできるので楽です。

両面テープ1枚ずつに分割したら、アルミの光沢面にボディの型紙を使い、形をなぞって写真のように跡をつけます。

私は0.5㎜のステンレス線をシャーペンに入れて、その細い先端でなぞっています。

跡を付けたらカッターで切り抜いて、ウロコ模様を付けます。

私は長ねじを二方向から転がして、ひし形の模様を付けています。

付けなくても良いですし、見た目だけなので、やり方は何でもいいです。

頭の部分は鏡面にしたいので、別で作ります。

同じようにボディの型紙を使って、頭の部分だけ縁取ってアルミに後を付けます。

口やエラも適当に書いています。

これでルアー1個分1式のアルミです。

先にウロコ模様の付いたボディ全体のアルミを貼り、その上から頭部分を貼ってできあがりです。

背の部分、腹の部分は曲面になっているので、シワができやすいでいです。この部分は、カッターで切り抜く際に、少しだけ線の内側で切り取って、少し小さくしておくと良いです。また、多少シワがついても、その部分だけピンポイントで爪や硬いものでゴシゴシ擦れば、ならされて綺麗になります。

6.下地ディッピング-2

アルミが貼り終わったら、塗装前に再度ディッピングをして表面を整えます。

フィルム貼りで仕上げる場合は、ここでのディッピングも不要です。アルミを貼ったら、そのまま続けてフィルムを貼ればOKです。

下地ディッピング塗装前

塗装する場合は、表面のデコボコを綺麗にしておかないと、塗装がうまくいかないので、アルミと下地の段差や、アルミ面のウロコ模様の段差などをならしておきます。

ここのディッピングからは、気泡が表面に付くとそのまま残ってしまいます。見た目だけの問題なので、あまり気にする必要もないですが、綺麗に仕上げたいならば、気泡を巻き込まないよう、ゆっくり沈めて、ゆっくり引き上げます。

7.1【塗装の場合】色付け+仕上げディッピング

【ここは、塗装して仕上げる場合の説明です。】

下地まで整ったらカラー塗装を行います。

さらにカラー塗装面を保護するために、最後のディッピングをして仕上げます。

塗装した後のルアー外観写真

塗装は好きなように模様を付けて色を付ければ良いです。そんなに高くない充電式ハンディエアブラシも販売されているので、そういった物から始めても良いと思います。

最終ディッピングの様子

塗料が乾燥したら、仕上げのディッピングを行います。ここでの回数も様子を見ながらですが、私はだいたい6回くらいでしょうか。

色を塗って、トップコートを掛ける。というだけの単純な作業ですが、ここでは対策をしないと、カラー塗膜がディッピングで溶けて、色がグチャグチャに混ざり合ってしまいます。

簡単な対策はこちらにまとめています。ただ、完璧ではなく、現在でも対策を色々試しながら行っているので、私も日々塗装方法が変化しています。

7.2【フィルム貼りの場合】色付け+仕上げディッピング

【ここは、フィルム貼りで仕上げる場合の説明です。】

アルミ貼りが終わったら、のびるフィルムを貼って仕上げます。

どうしてもルアーの背や腹の部分にフィルムの継ぎ目ができてしまいますが、そこまで目立つ物でもありません。

何より、塗装器具が必要なく、色流れの心配がゼロでなので、変にディッピング方法に悩むことなく、とても簡単に作れます。

長くなるのでこちらにまとめています。

8.リップ取り付け

ガラスエポキシ板の写真

リップには写真のようなガラスエポキシ板を使います。

他にはポリカーボネートが一般的に使われており、竹も厚みがでますが大丈夫でした。他にも使える材料はあると思いますが、この部分は弱い材料で作ると簡単に折れてしまうので、強度の高い材料で作る必要があります。(硬いというより、粘りのある材料)

昔、ルアーを初めて作った時、塩ビ板で作ったら、川底に少し触れただけで一瞬で折れました・・・

ガラスエポキシ板を透かして型の絵を写します。

ガラスエポキシ板であれば、下が透けて見えるので、下書きした紙をボードの下に置いて、マジックでなぞり書き写します。

そうしたらハサミで切り取ります。1㎜以下の物を使っているのもありますが、普通のハサミで切ることができます。

切り取ったリップの写真です。

切り取ったリップです。

切断面がザラザラ粗い場合は、軽くヤスリを掛けておくと良いです。

ハサミだと切断面がちょっと汚いですが、何で切るのが良いのでしょうね。ガラス繊維が入っているので、回転刃とかだとすぐ刃がダメになってしまいます・・・。体に悪そうな粉塵も出ますし。

ルアー本体へのリップ取り付け穴を空けます。

続いてルアーを加工します。

リップを刺す位置の目印を、マジックなどで書き込みます。(矢印の先の赤線)

リップ取り付け穴を空けた状態です。

そしたら、1mm幅くらいで、スリット状に表面のコーティングを切り抜きます。

さらに、リップを刺す角度で、カッターの刃を入れ、リップを付けやすくしておきます。

リップを取り付ける接着剤です。

作ったリップは接着剤で固定します。接着剤は、2液混合のエポキシ接着剤を使います。

リップ取り付け後の写真です。

リップを差し込む穴に接着剤を塗りこんで、リップを差し込みます。

さらに、リップを差し込んだら、リップの付け根の周りにも接着剤を盛って補強しておきます。

接着剤が固まったら、スプリットリング、フックを取り付けてルアーの完成です。